この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。
工務店とハウスメーカーは何が違う?注文住宅の悩みポイントを中立目線で解説
注文住宅の検討を考え始めると、まず建築会社の選択肢の多さに驚かれるかもしれません。
よほど身近な紹介などがない限り、数ある住宅会社の中から一つに決めることは簡単ではありません。
そもそもハウスメーカーと工務店は何が違うの?という疑問を持たれる方も多くいます。
社名だけではどちらか分からないこともありますね。
会社選びは理想の家づくりを実現するうえで、とても大事な過程です。
ここでは、中立的な立場からハウスメーカーと工務店それぞれの違いを解説していきますね。
まずは、それぞれの特徴を理解することで、ぜひ今後の住宅会社選びに役立てていただければと思います。
工務店とハウスメーカーとの違い
まず、工務店とハウスメーカーの定義の違いは何でしょうか?
じつは具体的な定義はなく、各社がどう名乗るかによっても違ってくるので線引きは難しいのです。
たとえば、一条工務店は「工務店」とつきますが、全国規模で展開しており、形態的にもハウスメーカーに分類されるのが一般的です。
それぞれの大きな特徴としては、
工務店:比較的小規模な会社を指し、施工エリアが限られ、地域密着色が強い
ハウスメーカー:首都圏をはじめとする全国に営業拠点があり、住宅展示場でモデルハウスを公開している
広告やテレビCMで目にすることが多く、総合住宅展示場などでの展示を行っているために、知名度が高くブランド力もあるのがハウスメーカー。
一方で、小規模の工務店はそういった機会が少なく、イメージが分かりづらいというのは事実です。
地域密着型のため、口コミやオーナーの紹介という形で工務店を選ぶ方が多いですね。
最近では、工務店とハウスメーカーの中間に「ビルダー」と呼ばれるような会社も増えています。
独自で展示場を持っていたり、ホームページや広告等での発信も積極的に行い、ブランド力の高い会社も増えています。
ハウスメーカーは年間数千棟、工務店は年間数十棟の規模、その中間がビルダーというイメージですね。
ハウスメーカーのメリット
ブランド力があり、経営が安定している
ネームバリューという点では、やはり大手ハウスメーカーの強さはあります。
全国に支店・支社を構える大規模なメーカーが多く、「○○で家を建てた」というだけでもブランド力がありますよね。
ちなみに、大手ハウスメーカー10社の着工戸数は、全体でみるとほんの2割程度で、ほとんどが中小規模のメーカーや工務店なのです。
それくらいブランドには価値があるといえるかもしれません。
大手ハウスメーカーであれば経営も安定しているので、それによって安心感を感じる方も多くいます。
なるべく考えたくはないですが、もし建築中に会社が倒産した場合、お客様にとってもとてつもない時間と労力がかかります。
大きな会社だから絶対に大丈夫ということはありませんが、それでもリスクは抑えられるのは事実ですね。
マニュアル化・工業化が進んでおり、品質が安定している
ハウスメーカーの場合、全国で建物を建築しており、年間施工棟数も多くなります。
そのため、施工する多くの建物を一定の水準以上で建築するために、マニュアル化・工業化が進められています。
規格化された商品の中から選んで作り上げるのがハウスメーカーのイメージ。
ハウスメーカーは数を売ることを目的としているので、一定の規格にそって建築基準法の許可を取得しているのです。
大手メーカーでは、工場でシステム化して組み立てを行っています。
そのため精度にばらつきがなく、安定した均一な品質を保つことができるのです。
これを保つことで、全国規模での安定したブランド力に繋がっているともいえますね。
高い商品力とプレゼン力
ハウスメーカーでは、自社の商品開発に対してしっかりとコストをかけ、耐震・断熱など性能面においても高い商品力を維持しています。
また大手ハウスメーカーとなれば、新しい技術や環境などへの取り組みも積極的で、社会的な立場からも住宅業界のリーダーカンパニーとしての役割を果たしています。
そのため、新しい技術や設備を取り入れた、新しい住まい方への提案については、ハウスメーカーの得意分野といえるでしょう。
また、自社の建物の構造や性能面については、商品開発の中で性能実験を行っている会社も多くあります。
そのノウハウを持ってお客様に説明ができるという強みがあります。
実績に基づいた話なので、 住宅会社を検討している方の立場からすると納得感があり、分かりやすいというのも魅力です。
自社工場(ファクトリー)を見学出来たり、展示場、パンフレットなど、検討する為に見学できる場所や資料なども多く、サービスのクオリティが高い点も、ハウスメーカーのメリットの一つです。
ハウスメーカーのデメリット
コストがかかる
大量生産で効率化されているので、コストは抑えられるのでは?
と思いたいのですが、独自の技術開発などにも莫大な投資をしているので、そういった価値も含めて高いコストを受け入れられるか?というところですね。
また、ハウスメーカーといえばブランド力も高く、そのブランドイメージに見合った設備や、仕様が標準仕様となっているので、全体的に仕様の高いものがもともと想定されているというのも理由の一つです。
ただし、最近ではコストを削減して建てる”ローコスト住宅”という選択肢もあります。
メーカーによってはかなり力をいれているので、選択の幅も広がっているといえそうです。
特殊なニーズに対応しづらい
莫大な施工例によるノウハウに基づき、ニーズに対応した住まいを高い提案力で提供してくれます。
会社規模も大きく、多くの建物を施工し、その品質を担保しなければいけないのでマニュアルや規則などはしっかりと決まっています。
その範囲で対応できない要望については、個別に柔軟に対応するというのは苦手、またはできないケースも多いのです。
また、商品ごとにできることや、選べる仕様の範囲に制限がある場合もあります。
希望を叶えるために商品ランクをワンランク上にする必要があるなど、やりたいことを叶えると予算に合わないなど、コスト面を理由に断念する方も多いです。
とにかく決めることが多い家づくり、最適な住みやすい家を提案してくれるので、ハウスメーカーの提案力に頼るのもひとつですね。
工務店のメリット
設計の自由度が高い
ハウスメーカーの規格型住宅とは対照的に、0からすべて作りあげていくのが工務店です。
それだけお客様にとっては自由度も高く、細かな要望も聞いてもらうことができます。
とにかくオリジナルにこだわった家を建てたい、こだわりを強く持っているという方には工務店のほうがかなえやすいといえますね。
コストをかけてこだわりたいところと、抑えたいところを分けて希望できるとも言えます。
また、これは工務店でも対応は分かれますが、性能や構造についての希望も、要望に合わせて対応してくれる会社もあります。
その点でも、限りある予算の中で、どこに予算を配分するかを自由に検討することができるというのは、やはり工務店のメリットではないでしょうか。
基本的には施工をメインとするのが工務店ですが、最近でデザイン・設計力をウリにするところも増えています。
建築事例も、案件ごとに個性があり、デザインや間取りにこだわりのある邸宅が多いのも特徴です。
地域密着で人の移動が少ない
ハウスメーカーのような全国に拠点がある会社の営業マンの場合、転勤で拠点が移動になるということも珍しくありません。
近隣エリアへの移動であれば、そのまま最後まで担当者が変わらず対応するケースも少なくないですが、場合によっては、途中で担当者変更となってしまうケースも残念ながらあります。
地元工務店の場合、拠点はその地域に限られるので転勤移動の可能性は少なく、引き渡しをうけた後も自分の担当者がその会社に変わらずいる可能性が高いです。
地域密着型ということで、全体を通して何かあればすぐに駆け付けたりと、より親身に対応してもらえるという特徴もありますね。
コストが抑えやすい
希望の設備や内装材・間取りを実現しやすい ことで、コストを抑えやすいというのも工務店のメリットです。
設計の自由度が高いため、コストをかけたいところ・かけたくないところの差をしっかりとつけやすいとも言えます。
また、大手ハウスメーカーのように高い経費をかけないことで、全体の価格を下げているのが工務店です。
予算に不安があるお客様でも、プランや間取りの調整によって、予算の範囲内で実現できる可能性があります。
工務店のデメリット
性能や品質にばらつきが出やすい
地域密着で中小規模の工務店は、ハウスメーカーと比較すると、マニュアル化や工業化は進んでおらず、現場施工の割合も高いので、現場監督のレベルや職人の技術によるところも大きいです。
そのため、会社によって技術力の差や、それによる性能や品質の差は出やすいと言えます。
つまり、欠陥や手抜きが防ぎにくいといえますね。
引き渡し後すぐに気がつけば良いですが、何年後かに見つかって保証が効かないというケースも少なくありません。
もちろん一定の品質を確保するため、会社として品質チェックの体制や、自社の施工に携わる業者や職人への教育やルールの徹底のための定例会などさまざまな対策を各社整えて、対応していることがほとんどです。
ですが、地元工務店の会社の数は非常に多く、会社規模も経験値もレベルもさまざまなので、施工に対して信頼できる会社かどうか自分の目で確認することが大切です。
工期が長くなる
規格が決まっておらず、0から作りあげていくのでそれだけ工期はかかります。
ハウスメーカーで3.5〜5ヶ月かかる工事は、工務店で4〜6ヶ月程度かかるイメージですね。
工事が始まるまでの過程でも、少人数で運営しているためプランニングや設計にはわりと時間がかかります。
最終的な希望期限ははじめに決めておくものですが、予想以上に時間がかかることが多いので、時間のゆとりは少しでも持っておきたいですよね。
ハウスメーカー・工務店はこんな人向け
まとめになりますが、一般的なそれぞれの特徴から、こんな人に向いているといえます。
ハウスメーカーはこんな人向け:
・ブランド力・安心感を重視したい
・先進技術や機能面を充実したい
・多少コストをかけてでも間違いのないものが欲しい
工務店はこんな人向け:
・より希望通りのこだわりの住宅を作りたい
・とにかくコストを抑えたい
お客様の価値観によって最適な選択を
ハウスメーカー・工務店の選び方は、お客様のご要望や計画しだいで、簡単にどちらが良いとは言えません。
ここで紹介したのは一般的な特徴ですが、もちろん各社それぞれの強みや特徴があり、会社規模もさまざまです。
大手ハウスメーカーでも品質グレードを下げずコストダウンが図れたり、セミオーダー企画の商品を開発しています。
地元工務店でもデザイン性が高い家づくりができるが、一定基準の品質の担保やコストパフォーマンスを図るために、ある程度の規格を設けていたりなど、ハウスメーカーと地元工務店の特徴の境目も曖昧でわかりにくのも事実です。
イメージや規模だけで決めてしまうのは、失敗のもとです。
おうちモールでは、お客様のご希望やこだわりを丁寧に聞かせていただいたうえで、より条件に合ったハウスメーカーや工務店を紹介させていただきます。
この地域に密着しているうえ、中立の立場から紹介できるのが強みです。
ハウスメーカーや工務店という枠だけにこだわらず、一番理想的な家づくりを任せられるメーカーをご提案させていただきます。
ぜひ一度ご相談くださいね。
おうちモールは、FPや宅建などの国家資格を持つプロのアドバイザーが
あなたにピッタリの住宅会社をご紹介する注文住宅の相談窓口です。
\ 資金計画相談もメーカー比較・紹介もすべて完全無料です /
おうちモール公式サイトへローコスト注文住宅で失敗しないためには?安い仕組みと注意点を解説
前の記事へ
注文住宅で失敗後悔しがちなこと4つ。失敗しないためにできる具体的な準備を紹介
次の記事へ