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【注文住宅】土地代込みの費用相場は?具体的なシミュレーションや土地の諸費用も解説
■ 土地を購入して注文住宅を建てる際の費用相場がわかります。
■土地購入で支払う諸費用の内容や目安となる金額を解説します。
■具体的な土地費用にかかる費用をシミュレーションしてご紹介します。
「土地を購入して注文住宅を建てるには、いくらの費用がかかるのだろう」と不安に思う方も多いでしょう。
不動産サイトなどに掲載されている土地価格には、諸費用が含まれていないケースも少なくないため注意が必要です。
そこで今回は、土地を購入して注文住宅を建てる際の費用相場と具体的なシミュレーションをご紹介します。
土地購入時にかかる諸費用や住宅ローンに関する疑問についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次 |
土地代込み注文住宅の費用相場は4,000万円台
土地を購入して注文住宅を建てる方の費用相場について確認しましょう。
土地と建物の平均費用
土地と建物の平均費用
国土交通省の住宅局による「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると土地と建物の平均費用は、全国と三大都市圏 (東京圏・大阪圏・名古屋圏)で次のようになりました。
土地+建物の総額 | 土地購入費用 | 建物建築費用 | |
全国 | 5,811万円 | 1.929万円 | 4.319万円 |
三大都市圏 | 6,989万円 | 2,813万円 | 4,943万円 |
全国平均は5,000万円台を大きく上回っていますが、三大都市圏の総額が7,000万近いため、地域によっては全国平均を下回るところもあるでしょう。
また、愛知県を中心としたおうちモールのお客様の平均費用は次のようになりました。
土地+建物の総額 | 土地購入費用 | 建物建築費用 | |
おうちモール平均 | 4,500~6,000万円 | 1,800~2,800万円 | 2,700~4,000万円 |
おうちモールで注文住宅を購入されるお客様の土地購入費用は、1,800万円~2,800万円の範囲が多い傾向です。土地の場所や広さ、また全体の予算によって大きく変わります。
まずは適正予算を知りながら、どれくらいの費用を土地にかけるか、土地の場所をどうするかなどを検討していくのがおすすめです。
土地と建物の費用配分
全国平均では、家づくりの総額に対して土地代が約30%となりました。ただし、三大都市圏では土地代は全体の40%と高くなる傾向があります。土地費用によって建物にかけられる価格が異なるため、相場をあらかじめ理解して資金計画を立てることをおすすめします。
全体の資金計画に対して土地費用の配分が大きくなるなら、建物価格を下げられるハウスメーカーを選んだり、建物の面積を小さくしたりするなどの調整が必要です。
反対に、エリアや広さを変更して土地の予算を下げられるなら、建物の配分を大きくするなど、全体のバランスを考えて資金計画を立てましょう。
土地の購入で支払う費用の内訳
土地の購入で必要な費用は次のような項目があります。
- 手付金
- 仲介手数料
- 登記費用
- 印紙代
- 住宅ローン手数料
- 固定資産税・都市計画税
- 不動産取得税
それぞれの内容と目安となる費用をご紹介します。
手付金
手付金とは、土地の契約時に支払う費用です。
売主に対して支払う費用で、本体価格に充当されます。
例えば、1,000万円の土地に対して100万円の手付金を支払った場合、残りの900万円を決済時に支払うという仕組みです。
土地売買の場合、本体価格の5〜10%程度を支払うケースが多いですが、双方の話し合いで金額は決定します。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社などが仲介で入っているときに支払う費用です。
売買金額が400万円超の場合、下記計算式で仲介手数料が算出できます。
土地購入代金 | 仲介手数料の計算式 |
200万円まで | 土地価格×5%+消費税 |
200万円以上400万円以内 | 土地価格×(4%+2万円)+消費税 |
400万円以上 | 土地価格×(3%+6万円)+消費税 |
ちなみに、販売の形態が「売主」となっている場合は、仲介手数料はかかりません。
土地購入の費用に大きく関わる項目なので、土地探しの際は意識的にチェックしてみてくださいね。
登記費用
土地を登記するときにかかる費用を指します。
土地売買時に必要な登記内容は土地の所有権移転ですが、住宅ローンを利用する場合は土地が担保になるため、抵当権設定の登記も別途必要です。
登記するためにかかる登録免許税の他に、司法書士への報酬費用がかかります。
ご自身でも手続きすることはできますが、専門的な知識なども必要なため司法書士に依頼することが一般的です。
【登録免許税の計算方法】
- 所有権の移転登記:固定資産税評価額×1.5%
- 抵当権設定登記:住宅ローンの借入金額×0.1%
どちらも軽減措置後の内容であり、令和9年3月31日までは上記の内容が適用されます。
司法書士への報酬は5~10万円程度が相場です。
印紙代
売買契約書に貼る印紙代です。
いくらの土地を購入するかによって印紙税額が異なります。
本則税率 | 軽減税率 | |
500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
令和9年3月31日までは軽減税率が適用されます。
住宅ローン手数料
住宅ローンを借入する場合、事務手数料がかかるケースもあります。
手数料は定額型と定率型どちらかが一般的です。
- 定額型:一律10万円など
- 定率型:借入額×2.2%など
金融機関によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
固定資産税・都市計画税
土地購入時には固定資産税・都市計画税も支払います。
固定資産税・都市計画税は毎年課税されるため、土地を所有した日からの日割り計算で算出し、すでに納税している売主に支払う流れです。
例えば、7月1日に土地を所有した場合、7月1日〜12月31日までの半年分を買主が負担します。
【愛知県岡崎市の例】
- 固定資産税額=土地の課税標準額×1.4%
- 都市計画税額=土地の課税標準額×0.3%
土地の課税標準額に税率をかけて算出します。
課税標準額は売買価格の70%が相場と言われていますが、正確な額は自治体へ確認しましょう。
また、税率は自治体ごとに異なりますので事前にチェックしてみてくださいね。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を所有したときに支払う税金のことで、納税は1回きりのみです。
土地を購入した数か月後に都道府県から納付書が届きます。
- 不動産取得税=土地の課税標準額×3%(本則税率4%)
令和9年3月31日までは、軽減税率の3%が適用になります。
ちなみに、不動産取得税は住宅分も納税義務がありますが「新築の場合は課税標準から1,200万円を控除する」という特例を受けることができますので覚えておきましょう。
土地の購入で支払う可能性がある費用
土地の状況によっては支払う可能性がある費用も確認しておきましょう。
古家解体費用
建物付きの土地を購入した場合は、買主負担にて古家を解体する必要があります。
解体費用は、建物の構造や面積によって異なりますので、住宅会社や解体業者に見積もりを依頼しましょう。
中には、現況では古家が建っていても、引渡しまでに売主負担で解体してくれる物件もあります。
契約前に「どのような状態で引渡しなのか」や「解体費用を負担する必要があるのか」などをしっかり確認することが大切です。
造成工事費用
土地によっては、家を建てられる状態にするために造成工事が必要なケースもあります。
具体的には次のような事例です。
- 土地と道路・隣地の間に高低差がある
- 建築場所に木などの植物が生えている
- 敷地内にコンクリートのガラなどがある
これらの場合、敷地内の不要物を撤去して、盛土・切土・整地などの造成工事が必要です。
また、盛土が隣地へ流れ出ないように、土留め工事を併せて行うケースもあります。
造成工事は土地の広さや内容によって費用が異なり、数十万円~数百万円と費用の幅も大きいです。
土地の契約前に住宅会社の担当者に敷地を見てもらい、必要な造成工事があるのか確認しておきましょう。
地盤改良工事費用
地盤が弱い土地の場合は、地盤改良工事をしてから建物を建築します。
土地購入後に地盤調査をすることが一般的なため、契約前に地盤の強さを知ることはできません。
過去の調査データで、エリアの地盤強度を確認することはできますが、あくまで目安なので予算を確保しておくことをおすすめします。
上下水道の整備費用
敷地内に上下水道の管がない場合は、整備費用が必要です。
具体的には、前面道路にある上下水道管を敷地内に引き込む工事をします。
敷地内に水道メーターや下水のマスがない場合は、引き込まれていない可能性が高いです。
また、前面道路にも水道管が敷設されていなかったり、接している道路が国道・県道だったりする場合は工事費用が割高になるケースが多いため、事前に費用を確認しましょう。
電気引き込み工事
電気の引き込みがされていない場合、電柱・電線などを電気会社に施工してもらう整備工事が必要です。
基本的に電気会社が無償で引き込み工事をしてくれるため、費用負担はありません。
ただし、引渡しに期限がある場合などは、電気の引き込みが着工までに間に合わないと発電機を使って注文住宅の工事を進めるケースがあります。
その場合、発電機を使用する費用がかかりますので注意しましょう。
農地転用費用
購入した土地が農地の場合、そのまま住宅を建てることはできません。
農地転用で「宅地」に変更することで、建築が可能になります。
自治体へ届け出が必要で、5万円前後の費用がかかることが一般的です。
土地費用の住宅ローン利用
住宅ローンを利用して土地を購入することに関する疑問などを解説します。
住宅ローンに充てられる?
そもそも土地購入費に住宅ローンを使えるのか不安に思う方もいるでしょう。
結論から申し上げますと、住宅を建てるための土地であれば住宅ローンを使うことが可能です。
土地のみ購入し、いつ建物を建てるかは分からないという場合は、利用できない場合がありますので注意しましょう。
ただし、「土地の申請に時間がかかるため何年以内に住宅を建てる」などの明白な理由があれば、条件付きでローン承認が下りるケースもあります。
金融機関ごとに扱いが異なりますので、事前に確認してみてくださいね。
融資が下りるタイミング
土地費用の支払いのタイミングで、住宅ローンの融資が実行されるのか不安という方もいるでしょう。
基本的に、住宅ローンの融資が下りるのは「建物の引き渡し時」です。
そのため、原則として引き渡しまでに発生する費用は自己資金で支払うことになっています。
しかし、土地購入のようにまとまった費用が必要だと、自己資金で支払うことは難しいケースもありますよね。
そこで、土地費用も住宅ローンで借り入れる場合は、「土地先行融資」「二本立て」「つなぎ融資」が利用できます。
土地先行融資
土地先行融資とは、住宅の引き渡しに先行して分割で融資が受けられるという仕組みです。
土地決済のタイミングや住宅の上棟や引き渡しなど、複数回に分けて金融機関が融資を実行してくれます。
土地先行融資のメリットは「つなぎ融資」と比べて金利が低い点です。
また、条件を満たせば住宅ローン控除を受けることもできます。
デメリットは、ローンを実行したタイミングで融資分だけ返済がスタートする点です。
家賃と住宅ローンの支払いが重なるため、返済が負担になるリスクがあります。
金融機関によっては、元金据え置きで利息分だけの返済で対応してくれるケースもあるため相談してみましょう。
二本立て
土地と建物で別々にローンを組む二本立てという方法もあります。
1つの金融機関で二本のローンを組むことで、土地の支払いのタイミングで必要な費用を実行できるため、つなぎ融資を使う必要がありません。
土地先行融資と同様に、つなぎ融資と比べて低金利な点がメリットです。建物のローンが実行されるまでは、土地融資分の利息のみ支払うことが一般的なため、建築期間中の費用負担も抑えられます。
一方で、二本のローンを組むため、手続きの手間や手数料は2倍になる点がデメリットです。
つなぎ融資
つなぎ融資とは、住宅ローンの実行までの間に必要な費用に対して、融資をしてくれるものです。
土地購入費や建物の中間金など、複数回に分けて必要な費用分だけ融資を受けることができます。
融資を受けたら利息分だけ返済して、住宅ローンが実行されたタイミングでつなぎ融資の元金をまとめて返済するという仕組みです。
つなぎ融資は、無担保で融資を受けることができ、申し込みから融資までがスピーディーというメリットがあります。
一方で、つなぎ融資の手数料や金利などの費用負担が増える点がデメリットです。
<POINT>
「土地先行融資」「二本立て」「つなぎ融資」のどちらを利用するかは、金融機関によって異なります。費用負担や手続きの手間なども異なるため、住宅ローンの借入先を決める際には、土地費用の支払いの流れまで確認して比較検討しましょう。 |
土地購入にかかる費用をシミュレーション
では具体的に、土地購入にかかる諸費用はどれくらいになるのでしょうか?
全国平均に近い土地費用2,000万円でシミュレーションしてみます。
■土地費用:2,000万円
(固定資産税評価額:2,000万円)
■頭金:200万円
■住宅ローン手数料:低率型2.2%
■愛知県岡崎市の土地
項目 | 金額 |
仲介手数料 | 2,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税
726,000円 |
登記費用 | 2,000万円 × 1.5%
300,000円 |
印紙代 | 10,000円 |
住宅ローン手数料 | 1,800万円 × 2.2%
396,000円 |
固定資産税・都市計画税 | 固定資産税額:2,000万円 × 1.4%
280,000円 都市計画税額:2,000万円×0.3% 60,000円 |
不動産所得税 | (2,000万円-1,200万円)×3%
240,000円 |
合計 | 2,012,000円 |
今回のシミュレーションでは、土地費用の約10%が諸費用としてかかるという結果となりました。また、この中でも固定資産税や都市計画税は継続して支払う必要があります。
条件によって変動する部分もありますが、土地を購入する際は、土地費用だけではないということを覚えておきましょう。
まとめ
注文住宅を立てるための土地を購入するには、本体価格以外にも様々な費用がかかるため、内容をしっかり把握することが大切です。
また、適切な資金計画を立てるためには、建物とのバランスを考えて費用を配分することがポイントになります。
「土地が高くて予算オーバーした‥」とならないように、土地の諸経費と費用相場をしっかりと把握して家づくりを進めてくださいね。
おうちモールでは、注文住宅専門のファイナンシャルプランナーによる資金計画のご提案が可能です。
お客様の収支や家族構成、資産などをお伺いしてライフプランを組み、最適な資金計画のアドバイスをさせていただきます。
家づくりの資金に対する不安を解消した上で、ご要望に沿ったハウスメーカーのご紹介も可能ですので、お気軽にご相談くださいね。
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