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注文住宅でエコ住宅を建てるには?エコ住宅には補助金や減税の恩恵も!
マイホームを検討していると、さまざまなところで「エコ住宅」というワードを聞くのではないでしょうか。「エコ」なので何となく、省エネ性の高い建物だろうというイメージは付きますよね。しかし、詳しい定義やエコ住宅の種類などを理解していない方がほとんどのはずです。
エコ住宅は省エネ性能の高い家を建てられるだけでなく、補助金や減税制度の優遇も受けられます。ただし、性能の高いエコ住宅を建てるにはお金がかかるのも事実です。
今回はエコ住宅のメリット・デメリットや、お得に建てるための補助金や減税制度を解説します。省エネ性の高い家を建てたい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次 |
エコ住宅とは?
エコ住宅とは生活する上でのエネルギー消費を抑えた住宅のことです。例えば、少ない力で冷暖房できる断熱性の高い家なら、エアコンの電力消費量を抑えることができますよね。また、高性能のエアコンを採用すれば、さらに少ないエネルギーで家の中を冷暖房することができるでしょう。このように、エネルギー消費を抑えた家のことを、ひとまとめにして「エコ住宅」と呼んでいます。
エコ住宅の種類
エコ住宅は、大きく分けて次の5つに分けられます。
・長期優良住宅
・認定低炭素住宅
・性能向上計画認定住宅
・ZEH住宅
・LCCM住宅
それぞれの特徴を見てみましょう。
・長期優良住宅
長期優良住宅とは、長期に渡って良好な状態で住めるように対策された、優良な住宅のことを指します。具体的には次のような対策がされた住宅のことです。
・長く住むことができるような構造や設備を採用していること
・住み心地の良い環境にするために配慮を行っていること
・一定面積以上の面積を確保できている住宅であること
・メンテナンスや修繕の方法や期間を定めていること
・自然災害が起きた際の対策等を行っていること
省エネ性だけでなく、耐震性や自然災害時の対策なども条件にしている点が長期優良住宅の特徴です。
・認定低炭素住宅
認定低炭素住宅とは、住宅で生活する上で発生する二酸化炭素を抑制するための対策が取られた住宅です。主に市街化区域等内に建築される建築物が該当します。低炭素住宅に認定されるには、断熱性能を高めるなどして一次エネルギーの消費量を減らすことを前提に、次の2つの項目を満たさなければなりません。
①必須項目
太陽光発電システム等を採用して創エネし、省エネ量と創エネ量の合計が、基準一次エネルギー消費量の50%以上であること。
②選択項目
HEMSや節水性能の高いトイレなどの設備を採用する等の項目を取り入れる。
ただ省エネをするだけでなく、自宅でエネルギーを作り出して消費量を減らすことも目的としている点が特徴でしょう。
・性能向上計画認定住宅
性能向上計画認定住宅とは、省エネ基準の水準を超えるための対策等を行い、基準に適合していることが認められた住宅の事です。性能向上計画認定を受けた住宅は、容積率の特例などを受けることができます。
・ZEH住宅
ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」のことを指します。太陽光発電システムなどで創ったエネルギーを、生活に利用することで、年間のエネルギー収支をゼロにすることを実現した住宅です。もちろん高断熱・高気密な住宅を建て、省エネルギーな設備を導入することが必須条件となっています。まさに「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」という名前を実現した住宅です。
・LCCM住宅
LCCMとはライフ・サイクル・カーボン・マイナスのことを指します。基本的にはZEH住宅の考え方と同じですが、1点大きく異なる点があります。それはLCCM住宅は、住宅建設時の二酸化炭素排出量も含めて、二酸化炭素の収支をマイナスにする住宅です。ZEHは住み始めての数値目標なのに対し、LCCMは建築中の数値も考慮されます。ZEH住宅よりも、さらに省エネルギー性に力を入れた住宅がLCCM住宅と認識しておくと良いでしょう。
エコ住宅を建てるメリット
エコ住宅を建てるメリットを紹介します。
高断熱・高気密住宅のため快適に過ごせる
エコ住宅にするためには断熱性の高いサッシや断熱材を採用し、隙間のない高気密住宅を建てることが必須です。そのため、室内の冷暖房効率が良くなり、快適な室温の中で生活することができます。居室はすぐ冷暖房されますし、全館空調などを採用すれば家中快適な環境で過ごすことができるでしょう。
光熱費が抑えられる
エコ住宅は光熱費も抑えられます。理由は次の3つです。
- 高断熱・高気密住宅なので少しのエネルギーで部屋を冷暖房できる
- 省エネの設備を使っているので節水や節電になる
- 太陽光発電システムを採用する場合は自家発電・消費できる
これらの理由により、一般的な住宅と比べてエコ住宅は光熱費を抑えたお得な暮らしを送ることができます。
補助金や減税などの優遇を受けられる
エコ住宅を建てることで、さまざまな補助金や減税などの優遇を受けることができます。エコ住宅の種類によって優遇の内容が異なるため、事前に内容をチェックしましょう。優遇制度に関しては後ほど詳しく解説します。
メンテナンスがかかりにくい家を建てられる
エコ住宅の種類によっては、耐久性の高い素材やメンテナンスがかかりにくい素材を使うという条件があります。そのため、エコ住宅を建てることでメンテナンスの手間を省くことが可能です。また、メンテナンスの費用も抑えられるため、入居後にかかるお金を抑えることができるでしょう。
災害時でも対応できる住宅を建てられる
エコ住宅は災害時にも対応できる住宅と言えます。なぜなら、太陽光発電などのエネルギーを創り出す設備を搭載するケースが多いからです。太陽光発電システムがあれば、停電時でも発電した電気を自宅で使うことができます。さらに蓄電池を合わせて採用することで、昼間に溜めた電気を夜間に使うことも可能です。
エコ住宅を建てるデメリット
エコ住宅を建てるデメリットを紹介します。
初期費用が高くなる
エコ住宅を建てるためには、高性能な断熱材やサッシ、設備などを採用しなければなりません。選ぶ住宅会社によってはほとんどがオプション扱いになり、数百万円の費用追加になったというケースもあります。損をしたくないという場合は、次の3つの金額を細かくシミュレーションして採用すると良いでしょう。
・エコ住宅や補助金や減税制度の金額
・住んだ後のランニングコスト(一般的な住宅との比較)
・エコ住宅にするための初期費用
これらを見て、損得を考えてみてくださいね。ただし、エコ住宅を建てると快適な環境で生活できるなどの、金額に表れない差も生まれます。トータル的に判断して決断してください。
建築出来る住宅会社が限られる
エコ住宅を建築する場合、選べる住宅会社が限られることがあります。なぜなら、エコ住宅の基準に対応できる住宅が建てられない会社があるからです。また、ZEHなどのエコ住宅は、事業登録している住宅会社のみが申請できるという条件もあります。
エコ住宅を検討している方は、あらかじめ住宅会社にその旨を伝え、対応可能なのか確認しましょう。対応可能でも費用が大幅にアップする可能性もあるため、事前に詳細を聞いておくことが大切です。
建築時期が限られることがある
ZEHやLCCMなどの住宅を建てて補助金を申請する場合、建築時期が限られることがあります。例えば、令和4年度のZEH住宅の補助金では、申請時期が年4回に分かれています。先着順で補助金の申請が受け付けられるため、申請時期に合わせて家づくりを進めなければなりません。その結果、間取りを十分に検討する時間が無かったり、予定よりマイホームの完成時期が遅れたりする可能性があります。補助金申請を行うときは、無理のないスケジュールで進められるかを必ず確認してください。
エコ住宅にするための設備はどんなものがある?
エコ住宅を建てるには、次のような高性能な設備を取り入れる必要があります。
・断熱設備
・省エネ・創エネ設備
・節水設備
・オール電化システム
それぞれの具体的な設備を確認していきましょう。
・断熱設備
断熱設備とは、建物の断熱性を高めるための設備のことです。具体的には次のような設備が採用されます。
・高性能サッシ
・高性能断熱材
・高断熱浴槽
住む地域によってエコ住宅になる基準が異なるため、採用すべきサッシや断熱材は異なります。また、同じ断熱材でも施工する厚みなどによって断熱性能に差が付くため注意が必要です。検討している住宅会社の断熱設備の標準仕様を必ず確認してくださいね。
・省エネ・創エネ設備
省エネ・創エネ設備はエネルギー量に関係する設備です。
・省エネ:消費するエネルギー量を抑えることができる設備
・創エネ:使うエネルギーを創ることができる設備
多くのエコ住宅は建物で使うエネルギー量を条件に組み込んでいるため、質の高い省エネ・創エネ設備を採用することが重要なポイントです。
【代表的な省エネ設備】
・高性能エアコン
・高効率給湯機(高性能なエコキュート・エコジョーズ等)
・LED照明
【代表的な創エネ設備】
・太陽光発電システム
・エネファーム
これらを住宅に取り入れ、エネルギー消費量をなるべく抑えつつ、自宅で使うエネルギーを創り出せるようなエコな家を建てましょう。
・節水機能がある住宅設備
エコ住宅を建てるためには、電気だけでなく水の使用量も抑えることが大切です。次のような節水機能がついた住宅設備を積極的に採用しましょう。
・節水型トイレ
・節湯型水栓
最近では、多くのメーカーの住宅設備が節水型に対応しています。水道代を抑えられるという点も大きなメリットでしょう。エコ住宅の条件には含まれませんが、浴槽も形状によって使用する湯量が大きく異なります。浴室を決める際にはぜひ意識してみてくださいね。
・オール電化システム
ガスを使わないオール電化システムもエコ住宅と言えるでしょう。特に太陽光発電システムと併用することで、オール電化住宅は高い省エネ・創エネ性能を発揮します。太陽光発電システムを採用し、自分の家で使う電力は自宅で創るというZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を目指してくださいね。太陽光発電システムがあれば、発電して余った電気を売ることも可能です。頑張って節電した分だけ、お得になるためエコに対する意識も強まるでしょう。
エコ住宅で受けられる補助金と減税制度
エコ住宅を採用することで受けられる補助金と減税制度を紹介します。(2022年10月時点)
【補助金】こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅⽀援事業とは、⼦育て⽀援と2050年までに目標としているカーボンニュートラルの実現を目的とした補助金制度です。⼦育て世帯や若者夫婦世帯が対象で、⾼い省エネ性能を有する新築住宅を建てることを条件としています。
【補助金額】
・ZEH住宅:100万円
・高い省エネ性能等を有する住宅:80万円
・一定の省エネ性能を有する住宅:60万円(2022年6月30日までに工事請負契約を締結することが条件)
【申請期限】
2022年3月28日~遅くとも2023年3月31日
【詳しい情報はこちら】
注文住宅の新築 | こどもみらい住宅支援事業【公式】 (mlit.go.jp)
【補助金】地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業とは、地域における木造住宅の生産体制の強化、環境負荷の低減などを目的とした事業です。省エネ性能等に優れた木造住宅を建てることによって補助金が与えられます。国土交通省が採択した地域の木材関連事業者や工務店等などのグループのみが補助金申請できるため、対応している会社をあらかじめチェックしましょう。
【補助金額】
・認定長期優良住宅:140万円等
・ZEH・Nearly ZEH:140万円等
・ZEH Oriented:90 万円等
・認定低炭素住宅:90 万円等
【完了報告期限】
2023年年2月6日
※申請期限ではないため注意
【詳しい情報はこちら】
報道発表資料:令和4年度地域型住宅グリーン化事業 グループ募集の開始 – 国土交通省 (mlit.go.jp)
地域型住宅グリーン化事業(評価) (chiiki-grn.jp)
【補助金】ZEH住宅補助金
ZEH住宅補助金とは、ZEHやLCCM住宅に対しての補助金制度です。ZEHは3段階に分かれており、省エネ基準や採用する設備の条件などが異なります。補助金額も大きく異なるため、初期費用との金額を確認しながらどのZEH住宅を建てるのか検討しましょう。また、ZEH住宅補助金は他の補助金制度に比べて、申請期限が細分化されています。家づくりのスケジュールを調整しながら申請の準備を進めましょう。
【補助金額】
・LCCM住宅:上限140万円
・次世代ZEH+:定額100万円等
・ZEH+:定額100万円等
・ZEH:定額55万円等
【申請期限】
四次公募:2022年11月21日10:00~2023年1月6日 17:00締切
※一次から三次公募は終了
※先着順に受付
【詳しい情報はこちら】
SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ|ZEH支援事業(【環境省戸建ZEH】令和4年度 環境省によるZEH補助金)
【補助金】各自治体で実施されている補助金もある
国で実施している補助金制度の他に、各自治体が主体となって実施している補助金もあります。太陽光発電システム等の家庭用エネルギー設備を導入することによって、補助金を受けられる自治体は多いです。ホームページ等で自分が建築する市町村や都道府県の補助金制度を確認してください。
【減税制度】低炭素住宅に対する所得税軽減
低炭素住宅を建てると所得税を軽減することができます。管轄の税務署に確定申告をすることで適応になります。
【控除額】
限度額650万円(控除率10%)
【控除期間】
居住年のみ
※ただし居住年に控除しきれない場合や事情により確定申告が翌年になる場合は、居住年の翌年に控除
【適用期限】
令和5年12月31日までに居住した物件
【詳しくはこちら】
No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)|国税庁 (nta.go.jp)
所得税の減税は、低炭素住宅以外に長期優良住宅でも適応になります。控除額などの条件は同じです。
【減税制度】長期優良住宅の住宅ローン減税
長期優良住宅を建てると住宅ローン控除の借入限度額が増加します。住宅ローン控除とは、住宅ローンを借り入れする人を対象に、13年間所得税と住民税の一部が控除される制度です。
【借入限度額】
令和4~5年に入居:5,000万円(一般住宅の場合は3,000万円)
令和6~7年に入居:4,500万円(一般住宅の場合は0円)
【詳しくはこちら】
住宅:住宅ローン減税 – 国土交通省 (mlit.go.jp)
ちなみに、低炭素住宅でも同じ限度額が設定されています。ZEH住宅は令和4~5年に入居で4,500万円、令和6~7年に入居で3,500万円の限度額です。
エコ住宅を建てる時の注意点
エコ住宅を建てるときの注意点を2つ紹介します。
エコ住宅や補助金申請の実績の多い会社を選ぶ
断熱性や気密性の高い住宅は多くの住宅会社で建てられるが、補助金を受けられるレベルのエコ住宅は建築できないという会社も中にはあります。また事業登録していない住宅会社だと、エコ住宅を建てていても補助金を申請できないケースがあるため注意が必要です。あらかじめエコ住宅の建築と補助金の申請をした実績があるのか確認しましょう。
また、補助金を受けられるようなエコ住宅が建てられても、中には大幅な費用追加になる住宅会社もあります。補助金を超える大幅な出費があるなら、補助金申請しなくてもいいと考える方もいますよね。住宅会社を決める前に、エコ住宅にかかる費用を明確にしておくことがおすすめです。
最新の設備はいつまでも最新ではない
当たり前のことですが、現時点での最新の設備はいつまでも最新ではありません。高性能な特殊な設備を採用したことにより、メンテナンスがかかったり故障時に大幅な工事が必要になるケースもあります。また、数十年後にはさらに最新の設備に切り替えが必要になるケースもあるでしょう。
そのため、ただ補助金を得るためだけに設備を採用するという考えは危険です。エコ住宅に暮らすことのメリット、高性能な設備を取り入れる際の注意点などもしっかり理解して、採用を検討してください。
まとめ
近年、環境保全への関心が高まっていることや光熱費の上昇などから、エコ住宅を検討される方が増えています。確かに、環境に良い建物を建てれば、将来的に自分が住む場所を守ることにつながります。また、快適に過ごせて光熱費を抑えられる家に住めたら、マイホームの満足度は上がりますよね。
しかし、高性能な設備は高額なので、初期費用の高さに頭を悩ませる方も少なくありません。もちろん環境や住む人に優しいエコ住宅は魅力的ですが、生活が苦しくなっては意味がなくなってしまいます。そのため、無理のない返済計画で注文住宅を建てることが非常に大切です。
おうちモールでは、ファイナンシャルプランナーによるライフプランや資金計画のご提案を行っています。お客様のご要望を伺いながら、適正な予算を一緒に考えることができます。さらに、エコ住宅が得意な住宅会社も熟知しているため、予算や要望に合わせた会社のご紹介も可能です。エコ住宅を検討している方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。
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