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長期優良住宅は申請すべき?メリット・デメリット、認定基準や流れを分かりやすく解説
■ 長期優良住宅の概要や認定基準、流れなどの基本的な内容がわかります。
■ メリット・デメリットから、長期優良住宅の必要性を検討することができます。
■ 長期優良住宅を採用するときに検討すべきポイントを確認することができます。
- 長く安心して暮らせるマイホームを建てたい
- 1年中快適に過ごせる家にしたい
- せっかく家を建てるなら資産価値を高めたい
このような要望をお持ちの方は、長期優良住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
長期優良住宅の申請をすることで、質の高さが証明された価値のあるマイホームを建てることが可能です。
こちらの記事では、長期優良住宅の内容や認定基準、流れなどを分かりやすく解説します。
メリット・デメリットや検討する時のポイントもご紹介しますので、ご自身にとって長期優良住宅の必要性を検討してみてくださいね。
目次 |
長期優良住宅とは
長期優良住宅の概要や認定基準、流れなどについて解説します。
長期優良住宅の目的
長期優良住宅とは、「長期にわたって建物が良好な状態を維持するために対策された住宅」のことです。
具体的には、建物の構造・性能・設備などの質を高めたり、メンテナンス計画を立てたりするなど、建物に長く住み続けられるようにさまざまな工夫をします。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が国によって制定されており、新築住宅の認定は平成21年6月4日から始まりました。
良質な住宅を建築して住み続けることで、暮らしの質の向上や環境への負荷が減ることが期待でき、国民生活の豊かさや国の経済状況の発展を目的としています。
長期優良住宅は、活用できる補助金や減税制度も多いことから、採用を検討する方も多いです。
実際に、令和4年度末には累計144万戸を超える住宅が長期優良住宅の認定を受けています。
認定基準とは
では、どのような住宅が長期優良住宅として認められるのでしょうか。
新築住宅では8つの認定基準がありますので、主な内容を確認します。
認定基準 | 内容 |
①住居環境 | 良好な景観づくりと、その他の地域における居住環境の維持・向上に配慮されたものであること |
②住戸面積 | 良好な居住水準を満たすために必要な広さの住まいを有すること |
③劣化対策 | 数世代にわたって使用できる住宅の構造躯体であること |
④耐震性能 | 極めてまれに発生する地震が起きても、改修して暮らし続けられるようにするために、揺れによる損傷のレベルの低減を図ること |
⑤省エネルギー性 | 必要な断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていること |
⑥維持管理・更新の容易性 | 構造躯体に比べて耐用年数が短い設備や配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)をしやすいよう対策されていること |
⑦維持保全計画 | 建築時から将来のことを考えて、定期的な点検・補修などの計画が立てられていること |
⑧災害配慮 | 自然災害による被害を防止・軽減できるように配慮していること |
参照元:長期優良住宅のページ|国土交通
実際には、劣化対策等級(構造躯体等)は3等級以上、断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級6などの細かな数値による基準も定められています。
住宅会社によって構造・性能は異なるため、標準仕様で長期優良住宅仕様の場合もあれば、オプションによって建物の質を高める必要があるケースも。
長期優良住宅を検討するなら、依頼する住宅会社がどのような家づくりをしているのか、あらかじめ理解することが大切です。
家が建つまでの基本的な流れ
長期優良住宅は申請が必要なため、通常の注文住宅の建築と流れが少々異なります。
スムーズに入居まで進めるために、長期優良住宅を建てるまでの流れを確認しておきましょう。
【認定手続きから工事着工まで】
流れ | 内容 |
①事前相談・設計図書等の作成 | 該当物件について事前に相談した後に、打合せ内容に基づいて書類を準備する |
②確認書等の申請 | 長期使用構造等であるかの確認を登録住宅性能評価機関へ依頼する |
③確認書等の交付 | 認定申請へ進むことができる |
④認定申請 | より詳細な内容の確認を所轄行政庁へ依頼する
申請すれば着工することが可能 |
⑤認定通知書の交付 | 長期優良住宅と認定される |
申請は住宅会社が代理で行うケースが一般的です。
長期優良住宅の認定は二段階に分かれているため期間を要します。
また、書類の不備などにより審査に時間がかかるケースもあるため、住宅会社と相談して余裕をもったスケジュール組みをすることが大切です。
【工事着工から工事完了後】
流れ | 内容 |
①工事着工 | 認定申請後に着工する |
②工事完了 | 工事を滞りなく進める |
③工事完了報告 | 申請通りに工事が終わった旨を所轄行政庁へ報告する |
④維持保全計画に基づく点検 | 計画通り定期的に点検を行う |
⑤調査・修繕・改良 | 必要に応じてリフォームなどを行う |
⑥記録の作成・保存 | 点検や修繕の内容を記録・保存する |
長期優良住宅は、長期的に建物の良好な状態を維持するため、認定されたら終わりの制度ではありません。
作成した維持保全計画書に基づき、10年以内ごとに1度の定期点検に加え、台風や地震時には臨時点検をして建物の状態をチェックします。
点検の内容に応じて、調査や修繕を行って建物の状態を保ちます。
また、点検や修繕の内容は記録に残し、後から見直せるように保存することも条件です。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅のメリットを確認します。
長く安心して暮らせる
長期優良住宅は、耐震性や耐久性、メンテナンス性を高めた建物なので、長く安心して暮らすことができます。
例えば、地震時では建物に負荷がかかりにくくなるような工夫がされているため、繰り返しの地震にも耐えられる可能性が高まります。
耐久性やメンテナンス性の高い外装材を使うことで、劣化による雨漏りなどを防ぎやすくなる点もメリットです。
快適な暮らしを続けられる
長期優良住宅は省エネルギー性も高めているため、快適な暮らしを送れる点もメリットです。
高断熱・高気密な建物を高性能なエアコンなどで冷暖房することで、住まいを心地良い室温に保ちやすくなります。
また、少ないエネルギーで室内を冷暖房できるため、光熱費の削減が期待できる点も魅力の1つです。
価値が持続し、将来的な売却にも対応しやすい
長期優良住宅の認定を受けているということは、一定基準の建物の質をクリアしているという証明になります。
建物が劣化しにくく機能性が高い住まいは価値が持続するため、売却時にも対応しやすいです。
また、証明書によって住宅の質を確認できるため買主にとっても安心感があり、購入を検討されやすいというメリットもあります。
補助金の対象となっている
長期優良住宅を対象とした補助金制度もあるため、お得に家づくりができる点もメリットです。
申請手数料や質の高い住宅にするための追加を支払った場合でも、補助金を補填して費用の負担を軽減することができます。
具体的には、「子育てエコホーム支援事業」を活用することが可能です。
長期優良住宅を取得する子育て世帯等に対して、原則100万円/戸が補助されます。
詳しくはこちらのコラムでご紹介しておりますので、ぜひチェックにしてみてくださいね。
税控除や住宅ローン金利の優遇がある
長期優良住宅は税控除や住宅ローン金利の優遇を受けられる点もメリットです。
具体的な控除や優遇制度の概要をご紹介します。
減税 | 住宅ローン控除 | 省エネ基準適合住宅と比べて、借入限度額を1,500万円引き上げ (省エネ適合住宅の限度額3,000万円、長期優良住宅の限度額4,500万円) |
投資型減税 | 標準的な性能強化標準費用相当額の10%を控除 (上限65万円) ※認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅の新築のみが活用できる制度 |
|
登録免許税 | 一般住宅より税率を軽減
(例:保存登記0.15%→0.1%など) |
|
不動産取得税 | 一般住宅と比べて、課税標準からの控除額を100万円上乗せ
(一般住宅の控除額1,200万円、長期優良住宅の控除額1,300万円) |
|
固定資産税 | 一般住宅と比べて、税額が1/2軽減する期間を2年延長 (例:戸建て住宅3年→5年) |
|
金利優遇 | フラット35 (Aプラン+維持保全型) |
借入金利を当初5年間 0.75%引き下げ |
フラット35 (金利引継特約付き) |
住宅売却の際に、借入金利のままで購入者へローン返済を引き継ぐことができる | |
フラット50 | 金利引継特約付きで返済期間の上限が50年間に延ばせる |
参照元:長期優良住宅のページ|国土交通
長期優良住宅では多くの軽減措置や優遇を活用でき、入居後の費用の負担を減らすことができる点も大きな魅力です。
長期優良住宅のデメリット
長期優良住宅のデメリットも理解しておきましょう。
着工までに時間がかかる
長期優良住宅は着工前に申請が必要なため、書類の準備期間や審査期間を確保しなければなりません。
そのため、最初の申請から着工するまでに早くても1週間、一般的には1カ月程度の期間を要します。
書類に不備があったり審査機関が混み合ったりしている場合は、それ以上かかるケースもあります。
ゆとりを持って家づくりを進めることと、住宅会社との細かなやり取りやスケジュールの共有が大切です。
般的な住宅と比べて費用がかかる
長期優良住宅の認定を受けるためには申請費用がかかるため、一般住宅と比べてコストアップします。
申請を住宅会社などに代行してもらった場合、20~30万円の費用が相場です。
また、基準を満たす住宅を建てるためには、通常建築コストが上がります。
標準仕様が長期優良住宅に対応している会社もありますが、そうでない場合は追加コストをあらかじめチェックしておくことが大切です。
長期優良住宅の申請は費用がかかりますが、補助金や軽減措置、金利の優遇などを受けることができます。
コストアップして必ずしも損をするわけではありませんので、トータル的なメリット・デメリットを考えましょう。
定期点検がある
長期優良住宅は入居後も定期的な点検が必要なため、手間に感じる方もいるでしょう。
維持保全計画書に基づいたメンテナンスを怠った場合、認定を取り消されることもありますので注意が必要です。
とは言え、計画的にメンテナンスを行うことで、良質な建物を維持することができます。
点検をデメリットとは思わず、「住まいの健康診断」として前向きに捉えられる方に長期優良住宅は向いているでしょう。
検討するときのポイントとは
長期優良住宅を検討する際に意識したいポイントをご紹介します。
どんな家に住みたいか考えてみる
まずは、ご自身がどんな家に住みたいかを考えてみましょう。
- ライフスタイルに合った間取りを採用した家
- デザインにこだわったおしゃれな家
- 価格を重視したローコスト住宅
- 耐震や断熱など性能にこだわった家
様々な考えがあり全て間違いではありませんが、良い家に長く住みたいと考える方は長期優良住宅が向いています。
ご自身の家づくりに対する考え方と、長期優良住宅の内容を照らし合わせて、マッチしているか検討してみてくださいね。
家を建てる際の予算を考える
長期優良住宅は、一般住宅と比べてコストアップするケースが多いです。
また、定期的なメンテナンスが必須な長期優良住宅は、修繕費の貯蓄も計画的にしなければなりません。
これらを踏まえて、月々の無理のない返済金額を考え、トータルの予算を決めましょう。
長期優良住宅を建てることで、補助金・住宅ローン控除・節税などの優遇を受けることも可能ですので、視野に入れて検討してみてくださいね。
ハウスメーカー・工務店などの申請実績を確認する
長期優良住宅は、住宅会社によって申請実績が大きく異なります。
標準仕様で長期優良住宅対応住宅になっている会社でも、実際はほとんど申請していないケースも少なくありません。
また、大手ハウスメーカーだから申請数が多いわけでもなく、規模の小さな工務店でも実績が豊富な場合もあります。
長期優良住宅の実績が豊富な会社なら、経験を活かした質の高い提案やスムーズな申請を期待できますよね。
後悔しない家づくりをするために、家づくりを依頼するハウスメーカーや工務店の長期優良住宅に対する申請実績を事前に確認してみましょう。
将来売却の可能性があるか視野に入れる
将来的に住宅を売却する可能性があるなら、長期優良住宅を検討してもいいでしょう。
なぜなら、長期優良住宅は価値が落ちにくいため、他の住宅に比べて売却価格が高くなる可能性があるからです。
また、内見時にしっかりとメンテナンスされていることが伝われば、購入を検討している方に好印象を与えられます。
ライフプランを考えて、長期優良住宅の必要性を検討してくださいね。
まとめ
長期優良住宅は、耐震性や耐久性など住まいの質を高めることで「長期にわたって建物が良好な状態を維持するために対策された住宅」です。
安全で快適な暮らしを送れるだけでなく、補助金や減税や金利優遇などの制度を活用することもできます。
良い家に長く住みたい、将来は住まいを売却したいなどと考えている方は、ぜひ長期優良住宅を検討してみてくださいね。
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