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この記事を読むのに必要な時間は約 18 分です。

これから注文住宅を建てたい人必見!断熱性能等級はどれくらい必要か?

家づくりをする上で、住まいの快適さにこだわりたいなら断熱性能にこだわることをおすすめします。

断熱性能を高めたマイホームなら、夏涼しく冬暖かい空間で快適な暮らしを送ることができます。

 

断熱性能のランクを具体的に表したものが「断熱性能等級」です。

どの等級の家を建てるかによって、建物の快適性やかかる光熱費は大きく変わります。

 

そこで、今回は断熱性能等級について徹底解説します。

マイホームの断熱性にこだわりたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

目次

  1. 1999年に断熱性能等級4が定められる
  2. 23年ぶりに追加された断熱性能等級5
  3. さらに断熱性能等級6、7を追加
  1. 愛知県ではどれくらいの断熱性能が必要?
  2. 断熱性能等級5の仕様基準

 

断熱性能等級とは?

断熱性能等級は、住宅の性能を等級で分かりやすく表示する「住宅性能表示制度」の項目の1つです。

設計された建物に対して、第三者である「登録住宅性能評価機関」によって客観的に評価を行い、その結果を「住宅性能評価書」として交付します。

 

断熱性能等級は、外壁や窓などからの熱損失をなるべく少なくするために、対策をどの程度行っているかを等級で表示する内容です。

外壁や窓の断熱性能が高いほど、熱が逃げにくい建物として認められ、高い等級が認定されます。

 

参考ページ:新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド|国土交通省

 

2023年7月現在は断熱性能等級が1〜7までありますが、以前は等級4までしかありませんでした。

現在の断熱性能等級になった流れや、具体的な内容を解説します。

 

1999年に断熱性能等級4が定められる

これまで最高等級とされていた「断熱性能等級4」は、1999年に定められました。熱損失を「大きく」削減するために対策をしている建物が断熱性能等級4と評価され、次世代省エネルギー基準を満たした建物として認められます。

 

壁や天井だけでなく開口部には複層ガラスを使用しなければいけないなどの規定が、断熱性能等級4を取得するための具体的な条件です。

等級1と比べると等級4では約60%の省エネが実現され、年間約8万円の冷暖房費削減につながると言われています。

 

23年ぶりに追加された断熱性能等級5

断熱性能等級4が制定された23年後、2022年4月に追加されたのが断熱性能等級5です。

それまではどれだけ断熱性能を高めても最高ランクは等級4でしたが、更なる高基準の等級5が制定されました。

 

断熱性能等級5では、等級4よりも熱損失を「より大きく」削減するために対策をしている建物であることが条件で、基準を満たすとZEHレベルの建物として認められます。

 

具体的には、等級4と等級5の建物の場合、サッシに次のような差をつけることで熱損失を「より大きく」削減することが可能です。

 

  • 等級4:アルミ樹脂複合サッシ+透明複層ガラス
  • 等級5:アルミ樹脂複合サッシ+Low-E複層ガラス

(※6地域の場合)

 

等級4では、2枚の透明ガラスを採用すれば基準を満たしていました。

しかし、等級5を取得するためには片側にLow-E膜が施工された2枚のガラスを採用しないと、基準を満たすことができません。

 

また、使用する断熱材の厚みも次のような差があります。

等級4 等級5
天井の断熱材 高性能グラスウール16K

(155mm)

吹込み用グラスウール18K

(210mm)

壁の断熱材 高性能グラスウール16K

(85mm)

高性能グラスウール16K

(105mm)

床の断熱材 高性能グラスウール24K

(105mm)

・内側:高性能グラスウール24K(42mm)

・外側:高性能グラスウール24K(80mm)

(※6地域の場合)

 

使用する断熱材の種類や厚みが大きく異なっていることがわかります。

 

ただし、こちらは一例ですので目安として参考にしてください。

住宅会社によって使用する断熱材が異なりますので、どのような断熱材を使用して何等級を取得しているのか確認しましょう。

参考ページ:③住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について|国土交通省

 

さらに断熱性能等級6、7を追加

さらに政府は2022年10月から、断熱性能等級6・等級7を追加しました。

等級5よりも高いレベルの断熱性能が求められています。

 

  • 等級6:熱損失等の「著しい」削減のための対策が講じられている
  • 等級7:熱損失等の「より著しい」削減のための対策が講じられている

 

断熱性能等級4の目安である省エネ基準と比べて、次のようなエネルギー消費の削減が求められています。

 

  • 等級6:省エネ基準比エネルギー消費量▲30%
  • 等級7:省エネ基準比エネルギー消費量▲40%

 

この値を実現するために、等級4・5よりも断熱材の厚みを増やしたり、サッシの断熱性能を高める必要があります。

電気代の高騰や環境への配慮も踏まえ、家に求める性能は高まっているのです。

 

断熱性能を図るUa値ってなに?

ここまで紹介してきた断熱性能等級は、具体的な数値で示された上で等級が決定します。

そこで使われる数値が「Ua値(ユーエーチ)」です。

 

Ua値とは外皮平均熱貫流率という意味で、「室内と外気の熱の出入りのしやすさ」を表しています。

次のような計算式で求めることが可能です。

 

Ua値=「屋根・天井・壁・床・窓」からの熱損失量の合計 / 外皮合計面積

 

例えば、断熱性能の低い断熱材とサッシが施工された家では、室内と外気で熱が出入りしやすいですよね。

そのため、Ua値は高くなり断熱性が低い建物ということがわかります。

 

反対に、Ua値が低いほど、熱が出入りしにくく断熱性能が高い建物ということです。

具体的な数値の目安は後ほど紹介します。

 

断熱性能と地域区分

Ua値が断熱性能等級を決める1つの要素とお伝えしましたが、全ての地域で同じUa値が求められている訳ではありません。

なぜなら、日本は地域ごとに気候が大きく異なるため、建物に必要な断熱性能も地域によって差を付ける必要があるからです。

 

そこで、日本全体を8つの地域に区分して、地域1〜8の基準となる断熱性能を定めています。これを「地域区分」と呼びます。

ちなみに、地域1が北海道の中でも特に寒いエリア、地域8は沖縄県や鹿児島県の一部などの特に暖かいエリアです。

同じ都道府県内の市町村でも平野部・山間部などで気候が大きく異なるため、別々の地域区分になっているケースも少なくありません。

参考ページ:地域区分新旧表|国土交通省

 

では、地域区分ごとに求められるUa値を見ていきましょう。

 

地域1
(寒い)
地域2 地域3 地域4 地域5 地域6 地域7<
等級4 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
等級5 0.40 0.40 0.50 0.60 0.60 0.60 0.60
等級6 0.28 0.28 0.28 0.34 0.46 0.46 0.46
等級7 0.20 0.20 0.20 0.23 0.26 0.26 0.26

 

等級と地域によってUa値が大きく異なっていることが分かりますね。

お住まいエリアに合った断熱性能の建物を採用することが大切です。

 

愛知県ではどれくらいの断熱性能が必要?

では、愛知県ではどれくらいの断熱性能が必要なのかを見ていきましょう。

愛知県は一部の市町村を除いて、多くの地域が区分6に分類されています。

 

4地域 豊田市(旧稲武町に限る)、設楽町(旧津具村に限る)、豊根村
5地域 設楽町(旧設楽町に限る)、東栄町
6地域 名古屋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市(旧稲武町を除く。)、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、田原市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、みよし市、あま市、長久手市、東郷町、豊山町、大口町、扶桑町、大治町、蟹

江町、飛島村、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町、幸田町

7地域 豊橋市

 

ご自身が建築する予定のエリアの区分を確認してみてくださいね。

また、各区分・各等級に対して求められるUa値は以下の通りです。

 

地域4 地域5 地域6 地域7
等級4 0.75 0.87 0.87 0.87
等級5 0.60 0.60 0.60 0.60
等級6 0.34 0.46 0.46 0.46
等級7 0.23 0.26 0.26 0.26

等級5を確保するなら県内どのエリアでも、0.6のUa値を確保すれば問題ありません。

 

どの程度の断熱性能を採用するかによって、建物の予算や選ぶべきハウスメーカーは異なります。

自分達が快適に暮らすためには、どの等級を確保すべきか考えてみてくださいね。

 

断熱性能等級5の仕様基準

愛知県が指定されている地域4〜7は、Ua値が0.60確保できれば断熱性能等級5を取得可能です。

そこで、断熱性能等級5を取るために必要な、断熱材の厚さやサッシの断熱性能を紹介します。

 

  • サッシ:アルミ樹脂複合サッシ+Low-E複層ガラス
  • 断熱材
等級5
天井の断熱材 吹込み用グラスウール18K

(210mm)

壁の断熱材 高性能グラスウール16K

(105mm)

床の断熱材 ・内側:高性能グラスウール24K(42mm)

・外側:高性能グラスウール24K(80mm)

参考ページ:③住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について|国土交通省

ハウスメーカー選びをするときに、各会社のサッシや断熱材の仕様を確認し、断熱性能等級5を取得できそうか判断してみてくださいね。

 

ただし、こちらはあくまで一例です。

ハウスメーカーによっては、異なる断熱材を使用していてもUa値0.60を確保しているケースも少なくありません。

詳しくは直接確認することをおすすめします。

 

2025年4月以降は断熱性能等級4以上が義務化に

これまで、断熱性能等級4〜7についてお伝えしてきましたが、どの等級を満たした家を建てるべきなのか迷っているという方もいるでしょう。

 

これからマイホームを建築するなら、最低でも等級4は取得できる断熱性能を採用することをおすすめします。

また、可能であれば等級5以上の建物を検討しましょう。

 

なぜなら、政府は2025年4月以降は「断熱性能等級4以上を義務化」する方針を示しているからです。

欧米諸国にくらべ断熱性能に後れをとっていた日本の建築ですが、「脱炭素」への取り組みとして国が動いたことが背景にあります。

 

また、家を建てて暮らす人にとっても、断熱性能を高めることによるメリットは多いです。

  • 快適な空間で生活することができる
  • 熱中症やヒートショックの危険性が減る
  • 光熱費を抑えることができる
  • 結露しにくくなって家が劣化しにくくなる
  • 補助金を貰えるケースもある

 

断熱性能等級5以上の住まいを採用し、暮らしの質を高めてくださいね。

 

断熱性能に力を入れているハウスメーカー

断熱性能に力を入れているハウスメーカーを紹介します。

 

ミサワホーム

地球上で1番寒い南極の昭和基地のほとんどの建物を建てていることでも有名なミサワホーム。

その高い技術が注文住宅にも活かされています。

工場内で木質パネルに断熱材をムラなく充填するため、高精度かつ高断熱な住まいを提供できる点が魅力です。

 

三井ホーム

三井ホームは、オリジナルの2×6工法「ハイブリッド・モノコック工法」を採用しています。

一般的なグラスウールと比べて約1.3倍もの断熱性能を発揮するロックウールを、壁面に140mmも充填しています。

天井ではなく屋根に断熱材を施工し小屋裏に熱がこもることを防ぐなど、住まいの細かな断熱性能にもこだわりを持つハウスメーカーです。

 

アイ工務店

アイ工務店の「N-ees」という商品は、標準仕様で北海道エリアの「断熱等級5」の性能を満たしています。

「N-ees」では、壁面には内・外ダブル断熱、窓には高性能断熱サッシ+Low-Eトリプルガラス(アルゴンガス充填)を採用しており、高い断熱性能を確保しています。

断熱材やサッシはお住まいのエリアによって柔軟に対応できる点も魅力です。

 

サーラ住宅

サーラ住宅は、長年に渡って産学連携で技術開発に取り組んでいる会社で、東海地方では外断熱工法のパイオニアです。

屋根断熱・外張断熱・基礎断熱で家を「まるごと外断熱」して、熱の出入りを最小限にする断熱工法を採用しています。

世界最高水準の断熱性能を有するネオマフォームを外張り断熱に採用し、高い品質の建物を提供しているハウスメーカーです。

 

一条工務店

「家は性能。」というキャッチコピーで有名な一条工務店は、断熱性能等級5を標準仕様でクリアできる性能の高い建物です。

一般的なグラスウールの約2倍の断熱性を誇る「高性能ウレタンフォーム」で建物をすっぽり囲み、壁は「外内ダブル断熱構法」を採用しています。

また、「ツインLow-Eトリプル樹脂サッシ」を取り入れるなど、次世代の断熱性能基準に対応した家づくりをしているハウスメーカーです。

 

まとめ

光熱費の高騰や地球温暖化によって、注目が高まる住まいの断熱性能。

断熱性能にこだわった家を建てることで、快適かつ健康的に生活することができますし、お財布にも優しい暮らしを送ることができます。

 

ただし、より良い断熱性能の家を求めれば、もちろん価格にも反映されます。

そのため、無理のない予算組みを行った上で、最適な断熱性能を選ぶことが大切です。

 

おうちモールでは各住宅会社の価格帯と特徴を熟知しておりますので、お客様のご予算や要望に合わせてご紹介が可能です。ぜひ一度ご相談くださいね。

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